ステンレス鋼規格のインフォグラフィック

ステンレス鋼規格 ビジュアルガイド

品質、安全性、互換性を保証する世界共通の言語

なぜ規格が重要なのか?

ステンレス鋼は、その優れた耐食性、強度、美観から、建築、医療、食品産業など、私たちの生活のあらゆる場面で利用されています。世界には200種類以上のステンレス鋼が存在し、それぞれが異なる特性を持っています。国際的および国家的な「規格」は、これらの材料の化学成分、機械的性質、製造方法などを厳密に定義することで、世界中のどこでも同じ品質の材料を調達し、製品の信頼性と安全性を確保するために不可欠な役割を果たしています。このガイドでは、その複雑な規格の世界を解き明かします。

世界の主要なステンレス鋼規格

JIS (日本産業規格)

日本の国家規格。鋼材の記号は「SUS」(Steel Use Stainless)で始まり、SUS304などが有名です。

ASTM/AISI (米国材料試験協会/米国鉄鋼協会)

北米で広く使用される規格。AISIが開発した3桁の番号(例: 304, 316)が世界的に通用しています。

EN (欧州規格)

欧州連合(EU)の統一規格。数値による独自の番号体系(例: 1.4301)が特徴です。

ISO (国際標準化機構)

世界的な整合性を目指す国際規格。各国の規格を統合し、国際貿易を円滑にします。

GB (中国国家標準)

中国の国家規格。独自の記号体系を持ち、中国国内での取引に不可欠です。

KS (韓国産業標準)

韓国の国家規格。日本のJIS規格と整合性が高い部分が多く見られます。

ステンレス鋼の5大分類

ステンレス鋼は、内部の金属組織(結晶構造)によって主に5つの系統に分類されます。この分類は、鋼の磁性、強度、加工性、耐食性といった基本的な特性を決定づける重要な指標です。

① オーステナイト系

クロム(Cr)とニッケル(Ni)を主成分とし、最も広く使用される。非磁性で、優れた耐食性と加工性を持つ。代表例: SUS304, SUS316。

② フェライト系

クロム(Cr)を主成分とし、ニッケルを含まないか少量。磁性があり、安価で加工性が良い。代表例: SUS430。

③ マルテンサイト系

クロム(Cr)と炭素(C)を主成分とし、熱処理(焼入れ)により高硬度を得られる。磁性あり。代表例: SUS410。

④ 二相系 (デュプレックス)

オーステナイトとフェライトの混合組織を持つ。高強度と優れた耐食性を両立。代表例: SUS329J1。

⑤ 析出硬化系

銅(Cu)やアルミニウム(Al)などを添加し、熱処理で微細な粒子を析出させ高強度を得る。代表例: SUS630。

代表鋼種:SUS304の化学成分

「18-8ステンレス」としても知られるSUS304は、その優れた特性バランスから最も広く使用されるステンレス鋼です。その性能は、主成分である鉄(Fe)に、クロム(Cr)とニッケル(Ni)を絶妙な比率で配合することによって生まれます。このグラフは、JIS規格で定められたSUS304の代表的な化学成分の割合を示しています。

  • クロム (Cr) 18%以上: 表面に強力な不動態皮膜を形成し、錆から守る。
  • ニッケル (Ni) 8%以上: オーステナイト組織を安定させ、耐食性と加工性を向上させる。

主要鋼種の特性比較

ステンレス鋼を選ぶ際には、用途に応じて「耐食性」と「強度」のバランスを考慮することが重要です。このグラフは、代表的な鋼種の一般的な特性を比較したものです。例えば、SUS316はモリブデン(Mo)を添加することでSUS304よりも塩化物環境での耐食性が向上しており、沿岸部や化学プラントで多用されます。一方、SUS430は安価ですが耐食性は限定的です。

国際規格の互換性早見表

国際的な取引や設計において、異なる国の規格で定められた同等の鋼種を把握することは極めて重要です。以下の表は、代表的なステンレス鋼種について、主要な国際規格間での相当規格を示したものです。これにより、設計仕様に合った材料を世界中から適切に選択することが可能になります。

JIS (日本) ASTM/AISI (米国) EN (欧州) GB (中国) 分類
SUS304 304 1.4301 06Cr19Ni10 オーステナイト
SUS316 316 1.4401 06Cr17Ni12Mo2 オーステナイト
SUS430 430 1.4016 10Cr17 フェライト
SUS410 410 1.4006 12Cr13 マルテンサイト
SUS630 17-4PH 1.4542 05Cr17Ni4Cu4Nb 析出硬化

規格を活用した材料選定プロセス

製品開発において適切なステンレス鋼を選定するプロセスは、規格の理解から始まります。このフローチャートは、要求仕様の定義から最終製品に至るまで、規格がどのように活用されるかを示しています。

1.
用途・要求
仕様の定義
2.
関連規格の
調査・参照
3.
最適な鋼種の
選定
4.
図面への
規格・鋼種明記

このインフォグラフィックは、一般的な情報提供を目的としています。
正確な設計・製造には、必ず最新の公式規格書をご参照ください。

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